2005-01-01から1年間の記事一覧

かわいいものが好きな僕たち

そうは言うものの、しかし、注意したいのは、アプロプリエイションが「同時代の社会に対する痛烈な批評性を孕む一方で、モダニズム芸術観に根深く規定しているオリジナリティ神話を解体しようとする」ものであった一方で、しかし、今回の展覧会の「かわいさ…

80年代リヴァイヴァル?

まず、今回の展覧会の「かわいさ」のことで思ったのは、80年代のシミュレーショニズムだとかアプロプリエイションだとか、そういった流れのことで、「イギリスのロックだけでなくて、現代美術の世界にも、80年代リヴァイヴァルが?!」と妙なことを考え…

この「かわいい」世界

とはいえ、今回の展覧会の限界というものは、現代美術というジャンル全体に関わるものであることも確かで、決して、メジャーなものとは言えない「現代美術」のあり方を考えてみると、今回の展覧会が外側の世界から遊離してしまったからと言って、その学芸員…

祝祭的時空間の遊離

そうは言うものの、その空間の選択には、危うさというものがあるにはあって、そのことを考えると、結果的に、この優れた選択が同時に今回の展覧会の限界になっていたことも否定しがたい。 つまり、今、緩やかに「日常からの飛躍」を準備する入場ゲートから会…

ゆっくりと遊離する

そんなことを考えるでもなく、ぼんやりと想って、ふたたび山下公園の方向に目をやるとすぐに、2005年の横浜トリエンナーレの最初の作品が目に映る。 巨大なコンテナが組み合わされて、大きな門を構成している。ルック・デルーというベルギーの作家の作品…

横浜港の午後

横浜の中華街を抜けて、そのまま海に向かって自転車で走っていくと、山下公園に突きあたる。その先は、海になっていて、第二次大戦中は日本海軍の病院船として使われたという氷川丸が浮かんでいる。 銀杏の、並木の通りをわたって、自転車を降りて振り返って…

13年目のJリーグ

ミクシばかり書いていて、久しぶりにここに戻ってきたわけですが、とりあえず、Jリーグの話。今日、柏レイソルの降格が決まって、Jリーグの全日程(天皇杯は残っているけれども)は終了したわけですが、今年のJリーグを漠然と見ていて、漠然と考えたことを箇…

ミッキー登場

M・ジャクソン、ミッキーマウスでメイドを驚かす(BARKS) ロンドンの高級ホテルに滞在中のマイケル・ジャクソンは、ミッキーマウスのコスチュームを着たまま部屋のドアを開け、洗濯物を取りに来たメイドを驚かせたという。メイドはマイケルの高い声に、エン…

ウォーホールのスタローンの写真はメイプルソープのリサ・ライオンの写真と関係があるのでしょうか?

こんな記事を発見しました。 ボクシングを主題にした映画「ロッキー」シリーズで知られる米俳優のシルベスター・スタローンが、近くロッキー第6作の製作に乗り出すことが17日、米メディアの報道で明らかになった。同シリーズの新作は、1990年の第5作…

ボーイ・ジョージないしオバQ

先日、「つづく」と述べましたが、その前に、ちょっと続報。 http://abcdane.net/blog/archives/200510/boygeofe_beforeafter.html ボーイ・ジョージの化粧を落とした姿と化粧した姿の両方が見れます。なんと申しましょうか。

法廷で泣き出す

ボーイ・ジョージ、コカイン逮捕 80年代に一世を風靡(ふうび)した英ポップグループ「カルチャー・クラブ」のボーカル、ボーイ・ジョージ(44)が7日、ニューヨークでコカイン所持と虚偽通報の疑いで逮捕された。 ジョージは同日未明、「泥棒が自宅に入った…

ボーイ・ジョージ「容疑者」

B・ジョージ容疑者逮捕 コカイン所持の疑い【ニューヨーク7日共同】AP通信によると、ニューヨークで7日、コカイン所持と警察への虚偽通報の疑いで、「カーマは気まぐれ」などのヒット曲で知られるポップグループ「カルチャー・クラブ」の元ボーカル、ボ…

デッドエンドを超えて

恐らく、こういった具合に考えるのが一番つじつまがあうと思うのだけれども、アトムスーツというファンタスムの外殻は、チェルノブイリの人々によって、裂け目を入れられた。そして、「太陽の塔、乗っ取り計画」によって、ヤノベは、その裂け目を切り開いて…

もうひとつの出口

ヤノベによれば、その創作の(ファンタスムの)原点となったのは、大阪万博の解体現場であったという。ヤノベ少年の目には、様々なパビリオンが解体されていく光景が「未来の廃墟」を思わせたという。そういった経緯もあったためか、ヤノベは、ファンタスム…

アトムスーツの変容

恐らく、予想外のことであったと思われるけれども、ヤノベは、この郊外の未来において、そこに居住する人々に出会うことになる。原子炉から30キロメートル圏内にある強制退避区域とされるゾーンは一般の人間の立ち入りは禁止されている。だから、当然なが…

郊外の未来へ

ヤノベケンジは、1997年から「アトムスーツプロジェクト」を開始する。このプロジェクトにおいて、ヤノベは「アトムスーツ」に身を守られながら、砂漠、タイムトンネル、大阪万博跡地などを訪れることになるわけだけれども、ヤノベが最初に訪れたのは、…

郊外生活者のファンタスム

それにしても、この不可視の危険とそれに対する不安の意識、それから逃れるためのプロテクターという図式は、どこかで見たことがなかっただろうか。突飛な連想という人もいるかもしれないけれど、でも、僕たちは、ジョン・チーヴァーの短編小説「ランソン夫…

目に見えない危険とアトムスーツ

そもそも、ヤノベが恐れている「放射能」とは何であろうか?彼は何から身を守りたいと思っているのか。もちろん、文字通り、それは「放射能」であると考えもあるだろう。言うまでなく、それはひとつの解釈であり、正しいと思う(事実、ヤノベは、美浜原発事…

サヴァイヴァルという妄想

この本を概観するかぎりにおいて、ヤノベケンジの作品には、ふたつのテーマがあるように思う。 ひとつは、身体ないし自己の保護とでもいえばよいようなテーマだ。例えば、「タンキングマシーン」がある。これは、身体を包みこむような機能をもった彫刻とでも…

ヤノベケンジとは何か?

こうして、僕たちは、時として、遠くから響いてくる「ジャイアント・トらやん」の「ががあー」という叫びに苦笑させられながら、「キンダガルテン」と名づけられたヤノベケンジの企画展示を後にすることになる。 それにしても、その展示の全てをみたところで…

太陽の塔、乗っ取り計画

次の部屋に移ると、映像が流れている。どこかしらで不穏な雰囲気に満たされた映像ではある。でも、なにが起こっているかはすぐには分からない。排気口だとか下水道のような場所のなかで、アトムスーツを着た人間がもがいている。それが最初に分かったこと。…

森の映画館

部屋を移る。すると、なにやら暗がりの中に「ヘンゼルとグレーテル」に出てくるような小屋がおかれている。小屋の傍らには、先ほどの黄色い「アトムスーツ」を着用した腹話術人形が立っている。解説によれば、人形に装着されたガイガーカウンターが自然界に…

20世紀のマンモス・プロジェクト

まず、「ロッキング・マンモス」がある。鉄の塊のようでもあるが、そのフォルムはマンモスを形作っているのが分かる。そして、解説の言葉を読み、僕たちはなんと言葉を発してよいのだろうとふたたび途方にくれることになる。 まず、それは「ヤノベ乗用の愛車…

ヤノベケンジ「キンダガルテン」

でも、企画展に脚を踏み入れるや否や、僕たちは途方にくれることになる。クラッシックを聴いていたつもりが急にスウィッチが切り替わって、ヒップホップになったかのような眩惑。常設展示と企画展示のあいだには、リズムと言い、メロディーと言い、まったく…

豊田市美術館の午後

谷口吉生の設計した美しい建築物、豊田市美術館に入ると、まず、僕たちは、柔らかで明るい光のなかで、ジョセフ・コスースの「分類学(応用)No.3」と名づけられた壁面を目にすることになる。数々の哲学者や思想家の名前が記された巨大な壁面を見上げて…

2005年のサロン ヤノベケンジ 前編

ヤノベケンジ1969‐2005作者: ヤノベケンジ出版社/メーカー: 青幻舎発売日: 2005/08メディア: ペーパーバック クリック: 11回この商品を含むブログ (16件) を見る

ラーズライブ!

ラーズ(+8)アーティスト: ラーズ出版社/メーカー: ポリドール発売日: 1998/12/16メディア: CD購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (77件) を見る 個人的な歴史を述べさせてもらうと、マンチェスタームーブメントと呼ばれる流れが盛り上がってきた…

信じることと書くこと

なんで、保坂和志の『小説の自由』を紹介するのに、いきなり、イエス・キリストの話をし始めたかというのは、正確なところは、現段階の僕には分からないのですが、この本を読んでいて、まず、思い出したのは、その懐疑に懐疑を重ねて、その上で、なお「磔に…

懐疑の果ての確信

小説の自由作者: 保坂和志出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/06/29メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 208回この商品を含むブログ (151件) を見る こういうことを書くと、「この人、あたまがおかしくなっちゃったんじゃないか」と訝しげなまなざしで見…

矢作俊彦「英国のテロとこの国」

今日の朝日新聞の夕刊の文化欄に矢作俊彦の文章が載っています。 新幹線に乗っていたら、鞄を置き去りにして、ドアから出ていった人物がいる。しばらく、様子を見ていたけれども、その人物は戻ってこない。矢作は、それが気になって、警備員や車掌に中を確認…