2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

わがうちなるヤンキー

最後に、個人的なことを書くと、『SEX』の連載がされていた時期、都心の私立高校に通っていた。バブル経済が崩壊する直前の話で、その文化的な状況は、少なくても、ヤンキーとはほど遠い場所にあったはずだった。事実、東京の北のほうに住んでいて、未だ…

混血児としてのヤンキー

ここで気に掛かるのは、そもそも、ヤンキーとは何か?ということだ。今、『SEX』のドメスティックな側面を例に挙げたことからも分かるように、実際のところ、それは、日本固有の文化的状況を示しているものと、まずは、考えることも許されるだろう。そう…

ヤンキーの影

上條淳士の『SEX』という漫画がある。知らなかったのだけれど、先日、13年ぶりに完結したらしい。高校生の頃、三巻の途中まで読んでいたけれど、長い中断のために「もう、出ないんだろうな」と思っていて、見落としていた。 舞台となるのは、東京の福生…

ヤンキー批判序説

菊地成孔の『CDは株券ではない』をお風呂に入りながら読んでいたら、ナンシー関の「日本人はどんなにあか抜けて見せようとファンシーとツッパリからは逃げられない」という言葉が引用されて、長渕剛の曲が紹介されていた。 ナンシー関の原著にあたっていな…

テレビキッズの憂鬱

ところで、思い出すのは、『ドラッグストア・カウボーイ』の終わりのことで、そこでは、薬を濫用することで、何処かに行くことができると信じられた時代の男がのっぺりとした時間を生きる少年に刺される場面で、物語が終わっていた。男がそこで死んでいたと…

Rape me, rape me.

では、『ラストデイズ』では、どうか。そこに救済はあるのか。 そこでは、『エレファント』と同じように、長廻しが使われて、かつてほどは執拗ではないものの、同じ時間が反復される。森のなかを歩きまわる男。冷え切った屋敷のなかの錯乱。それは繰り返され…

Why don't you kill me?

ガス・ヴァン・サントの『エレファント』では、長廻しのシークエンスが多用されている。でも、同時に印象的なのは、同じ時間が異なったかたちで執拗なまでに繰り返されているということだ。虐殺に至るまでの数時間が何度も何度も繰り返される。 それを眺めて…