テレビキッズの憂鬱

 ところで、思い出すのは、『ドラッグストア・カウボーイ』の終わりのことで、そこでは、薬を濫用することで、何処かに行くことができると信じられた時代の男がのっぺりとした時間を生きる少年に刺される場面で、物語が終わっていた。男がそこで死んでいたとすれば、それはそれで、まだ、マシな死に方だったようにも思う。出口はおのずから訪れてくれた。
 しかし、今述べたように、『ラストデイズ』では、男には、もはや、信じられる出口も残されておらず、まともに死ぬことさえもできない。ドラッグストア・カウボーイを刺した少年は、もしかしたら、そんな男になって、90年代を迎えていたのかもしれない。今にすれば、そんなことを思う。