2005-01-29から1日間の記事一覧

再度、死者の言葉

『14歳』において、井田は、アメリカの十代の売春婦ないし薬物中毒者(ストリートサヴァイヴァー)を取材する過程の中で、そのような人間たちを援助するNPOの主宰者に対して、日本の現状をどう思っているかと尋ねられ、こんな風に答えている。 もう家庭…

『かくしてバンドは鳴りやまず』

「ノンフィクション」と呼ばれる領域でものを書こうとする者が死者を扱うとき、その者が歩む先には、アポリアが待ち受けているように思う。死者は、その書物を通じてしか語ることがなく、死者に言葉を投げかけたところで、その言葉はむなしく死者の世界の中…

死者の言葉

僕にとって、特権的な空間があるとすれば、それは図書館であり、また、美術館である。図書館には死者の声がこだまし、美術館には死者の想念が集う。そして、静寂が支配する空間において、僕たちは死者たちの影を追う。 図書館はそういった場所なのだから、書…