民主党案

<民主憲法調査会国民投票にメディア規制なし 素案判明

 素案では、国民投票と通常の選挙は「質的に異なる」と指摘。「選挙管理委員会の委員、職員の運動禁止」程度の規制にとどめ、報道や運動は自由とした。昨年末に自民、公明両党が合意した同法案骨子は、編集責任者の地位利用による偏った報道や虚偽報道への罰則が盛り込まれている。
 また、民主党案は▽憲法改正以外にも皇室制度や生命倫理などの重大課題で国民投票を行う▽平和主義、国民主権などの根本規範は改正できない▽両院議員の3分の2以上の賛成が必要な憲法改正発議に関する現行憲法の規定も「改正できない」規定とする、などを盛り込んだ。与党が「20歳以上」とする投票権者については「18歳以上か、義務教育修了者か」という選択肢を同調査会の総会に提示する。
 現在、国会には同法案を審議する場が存在しないため自民、民主、公明3党は衆参両院の憲法調査会を法案審議の場とするための国会法改正案を5月にも提出する。国民投票法案に関する与野党協議はその後に始まる見通しだ。

 毎日新聞から。

 「報道や運動は自由」って、当たり前なはずなんですが、日本では、通常の選挙でも、事前活動の禁止、一定の要件を満たしていない新聞・雑誌での選挙報道の禁止、戸別訪問の禁止がされています。これらは全部裁判になったけれども、全てが全て合憲とされています。
 ちなみに、いわゆる先進国で、こんだけ選挙に対する規制がされている国はめずらしいし、これだけ規制がされるがゆえに、かえって選挙違反事件が増えてしまい、結果として、選挙に後ろ暗いイメージがついてしまったという批判もあります。
 そして、自民党案によれば、憲法改正国民投票では、普通の選挙以上に報道について厳しい規制をするということになっています。これに対して、民主党は「報道は運動は自由」としている。
 個人的には、民主党案のほうがまっとうだと思います。国民が自分のことを決めるっていうのが国民主権なんだから、そのためには、きちんと情報は必要。その情報が誤っているかいないかの判断を含めて、国民が主体的に振舞うことができる環境を整備すべきだと思います。
 逆にいえば、自民党案は「妙な情報が国民の耳に入ったら、馬鹿な国民がそれに悪影響を受けてしまうので、妙な情報を遮断してしまえ」という話で、国民を馬鹿にしているといったら、こんなに馬鹿にしていることもない。情報が間違っているかどうか、危いかどうか、そんくらいの判断は国民にはできるはずだと僕は信じたい。
 こんなの当たり前の話なんだけど、強調しないといけないというのが、まあ、苛立たしいといえば、苛立たしい。
 
 ついでに、憲法の条項について、全部改正できるっていう立場と改正できるものと改正できないものがあるという立場があります。民主党は、この点については、後者に立場にたっているということになるのでしょう。
 僕は、この点についても、民主党の立場を支持します。
 「いや、俺たちが決めるんだから、なんでも勝手に決めさせろ」っていう立場も、あり、といえば、あり、なんだろうけれども、憲法というのは、一つの世代の問題じゃなくて、次の世代にも大きな影響があります。だから、例えば、「この憲法は改正できない」という極端な条項が一つの世代で選ばれたとして、その憲法の中で、「国民の権利は自由に制限できる」なんて条項があったら、これは次の世代が困るわけで、そういった意味での制約は当然あるんじゃないかというのが、まず、素朴な意見。
 もうひとつ、教科書的にいうと、憲法制定権力っていうのは、あくまでもフィクションであって、実体化して語るべきではなくて、その意味で、そのフィクションとリアルな憲法改正の権力と同視するっていうのは、やっぱり、まずいんじゃないかっていう気がします。そこには、一定の距離を保っておいたほうが危険性が少ないという気がします。この点は難しいところなんで、あんまり述べませんけれど。

 しかし、民主党もがっしち改正案を作って、公表すべきだと思います。自民の案だけじゃ、あまりに選択肢が貧しすぎる。もちろん、僕達も僕達なりの対案を心の中には準備しておかなければならないっていう、大塚英志の言葉ももっともだとおもいますが。