『インディアンランナー』

 ほとんど十年ぶりに『インディアンランナー』を見ました。相変わらず良い映画ですね。きちんと書こうとすると、長々と書いてしまうので、今日は止めておきますが、それにしても、この映画ほど、きちんとアメリカの抱えている孤独を描いているものというのは、それほどないんじゃないかとも思います(と言っても、そんなにアメリカ映画を観ているわけじゃないんだけど)。
 アメリカときちんと付き合っていこうとすれば、この映画に描かれている部分もきちんと押さえてあげないといけない感じもします。アメリカの悪口を言うのは簡単だけれども、それだけでは駄目で、やっぱり、アメリカに同情してあげることも必要だと思わせるものが、この映画にはあります。
 それにしても、『ミッシング・リバー』のショーン・ペンと目つきと、この映画のデニス・ホッパーの目つきが似てきてしまっているというのは、かなり恐いというか、何というか、そういったところがあります。内側に抱え込んでいる狂気が同一の軌道を描いているのかもしれません。『カラーズ』を観て、もう一度確認したいと思います(もちろん、冗談)。また、この映画のチャールズ・ブロンソンも何ともいえないものがありますが。
 と、ここまで書いていたら、この映画って、ヴィゴ・モーテンセンももちろんのこと、ものすごく濃い男たちが集結していることに気づきましたが、観ている間は、そんな感じがなくて、むしろ、ものすごくバランスが良いというか、ショーン・ペンはきちんと物を見ているなという印象を持たせるところがあります。その意味でも、この映画は優れているのだな、という感じがします。