最高裁の考え

 しかしながら、最高裁はこういった考え方をとらなかった。というか、判旨をざっと読んで驚いたのは、この差別的な取扱いについて、その手段をあまり吟味することなく、立法目的の合理性だけを説明して終わっているということです。
 確かに、外国人に公務就任権ないし参政権が認められるか否かと言えば、日本人と同じ程度には認めることができないというのが判例であるし、一般的にもそういった感覚の人が多いと思います*1(その是非については、難しい問題を孕むのでおいておきます)。
 しかし、仮にそうだとして、この受験要綱の目的を達成するための手段はどうなのか。必要最小限度といえるのか。立法目的と合理的な関連性を有しているのか。その点について、最高裁は述べていない。これは非常に姑息なやり方というほかないと思います。

*1:説明を加えるとすれば、日本人が日本という国を統治するという国民主権原理は憲法上の要請であるけれども、そうだとすれば、外国人に参政権ないし公務就任権を無制限に与えてしまうと、この国民主権が崩れてしまう、というそういった論理構成を一般的にはとる。