露骨な状況

 両者ともに毎日新聞から引用。

旧日本軍の慰安婦問題を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組に対し、中川昭一・経済業産相と安倍晋三自民党幹事長代理が放送直前、NHK幹部に「偏っている」と指摘した問題で、この番組の制作責任者が13日会見し、「政治家の圧力によって番組改編を余儀なくされた。NHKは政治介入を許した」と証言し、「今回のような露骨な政治介入は稀有なケースだが、海老沢勝二会長体制になってから政治介入は恒常化している。職員の不祥事より重要な問題だ。会長と役員は総退陣すべきだ」と訴えた。政治家による“圧力”に抗議して、内部告発した現職のNHK職員が会見を開くのは極めて異例。

住居侵入容疑:共産党のビラ配り逮捕 東京・葛飾
 東京都葛飾区内のマンションにビラを配布するため侵入したとして、警視庁亀有署が23日、同区内の男(57)を住居侵入容疑で逮捕していたことが分かった。
 調べでは、男は23日午後、同区内の民間マンション(7階建て)に共産党の「都議会報告」などのビラを配布するために侵入した疑い。
 同党葛飾地区委員会によると、男が23日午後3時ごろ、ビラを配っていたところ、住民が「何をまいているのか、迷惑だからやめろ」と抗議し、同署に通報。駆けつけた警察官に逮捕された。
 男は「正当な政治活動」と主張し、「あなたが入れてほしくないなら、入れない。何号室ですか」と部屋番号を確認しようとした。マンション敷地内には、ビラ配布をしないよう求める注意書きがあったという。
 ビラ配りを巡っては、東京地裁八王子支部が16日、自衛隊イラク派遣に反対するビラを配るために東京都立川市防衛庁官舎に立ち入り、住居侵入罪に問われた市民団体の3人に、無罪判決を出した。東京地検八王子支部は24日、東京高裁に控訴している。

 表現の自由に関する、かなり問題のある事件が続いている。一方はNHKの番組に対する政治的介入。他方は共産党のビラ配布の規制。
 両者ともに露骨で安易。
 つまり、前者は、放映前の個別の番組の内容につき、政治家がなにかを述べるという形での介入であり、例えば、政治的な力を見えないような形で効かせて、思うような結果を得るなどという洗練された技術も*1何もなく、ただ直截的にNHKの幹部職員を呼びつけるという、あきれるほどシンプルなやり方がとられている。
 その方法論はきわめて安易かつ悪趣味で、かの宗男議員でもボス猿でもできる(という言い方をすると、あまりにボス猿に失礼かもしれないけど)。
 また、後者は、東京地裁が同様の事案において無罪判決を言渡しているにも関わらず、あえて起訴。
 果たして、検察は最高裁がこのような形の「住居侵入罪」を認めるとでも思っているのだろうか*2
 いずれにせよ、ピンクチラシは全く取り締まらない一方で、共産党のビラのみを起訴してしまうという、この検察の判断はあまりに露骨である。

*1:これだって、「洗練」という言葉を使うほどのこともないけれど

*2:仮に覆るのであれば、僕は中国に亡命しようと思います。そんなことになれば、たぶん、中国にいても日本にいても、人権保障という点では変らなくなってしまうから(苦笑)。