憲法改正の動き

自民党中川秀直国対委員長は8日、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について「通常国会で成立させなければならない」と述べ、成立に意欲を示した。そのうえで「通常国会終了後から来年にかけ、与野党の新たな合意、枠組みを強化して取り組む」と語り改正への新たな協議機関設置を野党側に呼びかける考えを示した。

公明党神崎武法代表は9日のNHKの討論番組で、憲法改正の具体的手続きを定めた国民投票法案について「異論はない」と述べ、早期成立に前向きな姿勢を示した。与党による法案の提出時期については「5月ごろに衆参両院憲法調査会がまとめる報告を受けて出すのがいいタイミングではないか」と語った。

社民党は戦後60年を迎える2005年を、「憲法改悪阻止」に全力を挙げる「政治の総決戦の一年」(福島瑞穂党首)と位置付け、党の存亡をかけて護憲運動の拡大に乗り出す構えだ。
 05年は自民党が秋に憲法改正草案をまとめる方針で、これに先立ち民主党も05年3月をめどに憲法改正に関する基本的な考え方を示す「憲法提言」を策定する予定。改憲に向けた流れが一層強まりそうな情勢下で、社民党には「護憲」を旗印に存在感を示し、低迷する支持の回復を図る狙いがある。

 それぞれ新聞記事からの引用。言うまでもなく、憲法上、憲法改正のためには、国会の総議員の3分の2の賛成と、国民投票での過半数の賛成が必要とされている。
 しかし、それ以外の規定はなく、細かいところについては、立法が必要とされていたのだけれども、その立法がこれまでのところされていなかった。それで、憲法改正手続をどのようにするのか(つまり、公布から何日以内にどのような形で投票が行われるのか、国民の過半数というけれども、その「過半数」の分母には、投票を棄権する人間の数は入れるのか否か、在外邦人はどうするのか、不在者投票はどうするのか等など)が定められるのが、国民投票法案。
 もちろん、国民投票法案がなかったことはまずい。しかしながら、それが立法されなかったというのも、ある部分では、国民の意思の発露というべきで、憲法をいじるということに、国民が大きな不安をもっていたことを示しているようにも思う。
 だから、ここにきて、国民投票法案が規定されるに至ったのは、憲法を改正するという国民意思が示されていると考えることもできるという人もいるかもしれない。
 でも、そうだろうかと、個人的には思う。むしろ、政治ましては憲法に関心がないし、それについて、どんな条文がありどんな議論があるか、ほとんど知らないという人間が多いのではないだろうか。だいたいにおいて、憲法が国民が国家権力に対して命令するための規範であるということを知らない人のほうが多いのだから。
 そんな状況の中で、果たして、実りある憲法改正が可能なのだろうか。国民が国家権力に対して鎧を剥ぎ取られるだけの結末に終わるのではないだろうか。そういった危惧がある。