『ゴーリキ・パーク』

 今更ながら、これも読んでいます。『寒い国から来たスパイ』もそうだけれど、冷戦構造を前提としているフィクションというのは、基盤がしっかりしているので、安心して読むことができ、しかも、基盤を整えるのに手間がかからないだけ、他のところに手が行き届くというか、クオリティーが高いような気がするのは、僕だけでしょうか。
 冷戦のシニカルな意味で安定した世界秩序と、こうしたフィクションの安定性が妙な具合に重なってしまっているのは、興味深いところです。