『マイルズ・デイビス自叙伝』

 それと同時に、というか、電車の中と職場では『マイルズ・デイビス自叙伝』を読んでおります。これも面白くて、すらすらと読めるのですが、読み終えると寂しいので、ゆっくり読んでいます。今はちょうど『ウォーキン』のレコーディングのあたりで、『クールの誕生』からヘロイン中毒になって、それでようやく復活するというあたりのところです。
 マイルズ・デイビスをある程度聴いていて、ある程度そのあたりのジャズも聴いているという生半可な僕でも楽しいので、もっとディープにジャズにはまっている人にはたまらんのではないでしょうか(もしかしたら、物足りないのかもしれませんが)。
 あと、全般的に言えるのは、マイルズ・デイビスの語り口がラブリーで、読む前には、ずいぶんと傲慢なことをかましているんじゃないかと思っていたのですが、実際に読んでみると、マイルズはかなり謙虚で、ほとんど他のミュージシャンの悪口を語らないのに驚きました。それどころか、全般的に褒めすぎなんじゃないかというくらい、褒めることが多い。その上、音楽に対しては誠実な態度をとり続けているので、すごく好感が持てるのです。
 比較するのは正しいのか分かりませんが、昨年『ジェイムス・ブラウン自叙伝』を読んで、その時も、ジェイムス・ブラウンがとても努力家な自己イメージを持っていたのを意外に思いましたが、それに比べても、マイルズがここまで謙虚な考え方をしているというのは予想外のことでした。