読んだ本

 このところは、読んでも頭が混乱して、纏められない状態にあります。ある意味で、とっても健全なことなのですが、とにかく、ひとつの立場からもうひとつの立場に毎日移ろっているような状態。だから、結論めいたことは、過渡的なものであれ、述べたくないというのが本当のところ。
 ひとつだけ述べるとすると、立岩真也が良いです。読みましょう。ぜひ読みましょう。特にお勧めは、岩波書店から出ている『自由の平等』。これは、かなり厄介な本とは言えるのですが、非常に刺激的です。リベラリズムの論の中には、「自由」と「平等」というものを二律背反的に捉える向きも多いけれども、「自由」も「平等」に分配しましょうと、自由を平等の中に取り込んでしまったというのがこの本の白眉で、これは目から鱗という感じもあり、また、この半年くらい抱えていた、状況に対するいかんとも言いがたい違和感がするりと解けたような感じがありました。
 逆に述べると、「平等」も「自由」にしましょうよ(=平等などは二の次)っていうのが、最近の流れなので、そういうところでは、今の嫌な流れに対するとてもラジカルな批判と言えるんじゃないでしょうか。
 もっとも、論者は、この本の中で、くりかえして、これは大したことをするわけじゃないと繰り返し述べるけれども、いや、かなり大したことだと思いました。その意味では、柔らかな表情は湛えているけれども、目が笑っていない、みたいな、そんなところもあります(本文はソフトなんですが、脚注はかなりハードっていうのが、その印象をもった理由でもあるんですが)。いい加減なことを言ったら、ソフトな口調で秒殺されちゃうんじゃないかという感じ。