イングランド1−0パラグアイ

 友人夫妻とお酒を飲んでいたけれど、友人も自分も、どうしても、イングランドの試合を観たくなって、家に戻って、後半から見ることになる。状況はすでに、ベッカムフリーキックで、イングランドが1点を先制している状態。
 イングランドの最初の試合であって、しかも、相手はしたたかなパラグアイ。なにが起こるか分からない。事実、パラグアイは、後半に入って、何度もイングランドのゴールを脅かす。イングランドは、後半が進むにしたがって、蒼ざめていくようにも見える。
 いや、それ以上に、イングランドは怯えているかのように見える。ディフェンスラインは、時として、6人になる。ベタ引きだ。怯えているイングランド。そして、目を凝らして、相手方の強固な守備の綻びを見つけ出そうとするパラグアイ。場合によっては、パラグアイが勝つかも知れないというサスペンス。
 でも、と僕たちは思い出すのではないだろうか。
 例えば、フランスでのイングランドとアルゼンチンの試合。フランスでは、オーウェンの美しいゴールがあった。あのゴールは、イングランドを勢いづかせ、時として、確信めいたものを感じさせた。しかしながら、イングランドはアルゼンチンに破れた。
 例えば、札幌でのイングランドとアルゼンチンの試合。イングランドは怯えていた。アルゼンチンは、恐らく、マラドーナ以来の優勝を狙えるようなチームだった。だから、ベッカムペナルティーキックに成功した後に、イングランドはベタ引きになった。やってくるボールを跳ね返すだけ。そして、イングランドは、フランス以来の、いや、メキシコ以来の屈辱を晴らした。
 そして、パラグアイ。後半30分すぎから、イングランドは、ただ跳ね返すだけになる。クラウチはボールを溜めることができない。ごくたまに、パラグアイに冷や汗をかかすものの、しかし、それらはすべて単発で終わる。
 そして、ロスタイムが過ぎて、試合が終わる。イングランドの勝利。パラグアイは、またしても、善戦しながら勝つことができない。でも、仕方がない。怯えているイングランドは、ともかくも強いのだから。